今、まさに島根県においては、少子、高齢化の進行は著しく、県の財政も非常に厳しさが増大している。都市部に目を転じると東京では人口が増加し、経済力も強くなり、自分たちの立場だけを考えた施策の展開など、地方には目を向けなくなっている。

このままでは、島根県などの弱小県はどのように地域を創り、県民の生活を守っていくのか正念場にきている。

特に、問題になるのが島根県に多くのエリアを有する中山間地域の存在である。

県民の皆様のイメージには、中山間都というのは山間部の地域ということを連想されると思う。しかし、中山間地域というのは(1)産業の振興(2)就労機会の確保(3)保険・福祉・医療サービスの確保と、その他社会における条件が不利で早急にその対策を求められている地域である。具体的には、小規模集落が散在し、買い物場所や公共交通など日常生活に不可欠なサービスの低下は、急速な人口流出を引き起こし、やがては集落の消滅に繋がる懸念がある。島根県においては県土の約90%を占める全人口のうち約46%が暮らしている地域であり、この地域は、特に少子、高齢化の進行が著しく年間約5千人の人口減少となっている。

今、島根県では「小さな拠点づくり」を重要な方策として推進しており、どの地域まで医療、教育、生活必需品の入手の方法を保障できるのか。即ち、島根県のどのエリア迄、行政が責任をもって、居住する地域の皆さんの生活要件を保持してあげることができるのか。その地域の皆さんの要望と県がしっかりとすり合わせることにより、その地域の小さな拠点の将来像について、地域と県が意識を共有する中で、両面から協力し合う必要ある。

また、島根県として県民が安全に安心して暮らせるテリトリーをどう構築していくのか。今生活している県民はもとよりであるが、将来を支える次世代のために、限られた財源をどのように活用していくのか。この現状を見つめ直し、新たな将来展望を切り開くために県民が生活するエリアをしっかりと決めて、安全に安心して暮らせる充実した環境の整備を推進する。そのことによって、県外からのIターン、Uターンの受け皿をしかりと創り上げる必要がある。

島根県において、如何に、知恵と工夫により県民の合意のもと、その対策を受け入れてもらう取り組みにさらに一層、熱意をもって進めることが重要である。「小さな拠点づくり」に必要な幹線道路等はしっかりと整備する必要がある。防災上の面から言えば、個別の防災事業には膨大な予算が必要などで防災事業の実施が困難な時には、住民の皆さんの理解と協力を得て、共同住宅の整備や避難住宅の整備などの対応を行い、そこに一緒に移転して生活してもらうなどの方法も講ずる必要がある。

これから島根県に住む人々が、島根に愛着を持って住み続けて頂くように、親や子供達が生き生きと生活できるような教育環境、生活基盤の整備、職場づくり、地域づくり等に取り組み、心あたたかなふるさとを末永く継承できるような取り組みを実践していく必要がある。

以上