県土の9割近くを中山間地域が占め、東西に長く海岸線が1000キロを超える島根にとって、農林水産業は県内地域の産業・生活に密接に関わる基幹産業である。

  しかし、今、島根の農林水産業、農山漁村は深刻な高齢化に直面し、担い手不足により、中山間地域を中心として地域の維持、存続さえもままならない、厳しい現実を抱えている。さらに、TPPや日EU・EPAといった農林水産業を取り巻く国際環境も大きく変わりつつある。今、島根の農林水産業、農山漁村が大きな局面を迎える中で、その将来像をどう描き、どう守り、どう発展させていくかが、問われている。

  国は、農林水産業・地域の活力創造プランを定め、農林水産業の競争力強化、成長産業化や農山漁村の多面的機能の発揮を図るとし、農政改革をはじめとする関連施策を着々と進めつつある。

 島根の農業は米づくりを基幹としつつ、各地域の特徴や強みを生かした作物を生産してきたが、米の生産調整の見直しや直接支払交付金が廃止される中、従来の米づくり主体の農業から大きく転換を余儀なくされつつある。

  国の動向から伺えるのは、林業では豊富な森林資源の循環利用や新たに創設される森林環境税の効果的活用を図り、森林・木材産業を成長産業化していくことが重要であり、水産業では資源の減少、長期的な魚価低迷、漁船の老朽化など厳しい環境のなか、漁村の活力再生と持続的発展を見据えた構造改革による経営基盤の強化を図っていくことになる。

 しかし、今、島根県を取り巻く様々な課題を抱える中、それぞれが自立できる魅力ある産業として確立するには、具体的にどうするのか。国の動向を把握しながらも、島根県独自の取り組みを展開することが重要である。しかしながら、島根の海、農地,山地には、地域毎にそれぞれ産業として培った確固たる風土、伝統等が存在する。

つまり、オール島根ではなく、地域毎の特徴や特性を活かし、地域内の生産者と流通業者との連携を更に向上させ活かしながら、消費者ニーズに十分な応えられる製品を創る元気な産業、かつ儲ける産業へ転換を図り、実現していくのかが重要であると考える。

消費者ニーズの期待に応える「食の安全」、「高品質化」の取り組み。県産品の競争力の強化のための「ブランド化」の促進。消費地への流通対策、鮮度保持の具体的方法の確立、元気で住みやすい農山漁村の形成。近年ニーズが増えている若い就業者の担い手育成などの取り組みを通じ国内及び国外の需要に対応する「島根丸ごとブランド化(仮称)」を構築し、担い手が地域で生活の糧を確保し、生活していける農林水産業、農山漁村を築き上げていくことが重要である。 我々政治家は、農村漁村がこれまで培ってきた風光明媚な自然、環境を大切にしながら島根の農林水産業が持続的に発展していくようにその実現に向け、地域の皆様の声を大事にしながらしっかりと取り組んでいきたい。